2009/9/5
ごはん
10-5
僕は、だまって台所に行くと、コップに水を入れて、ごくごくと飲んだ。おいしかった。
「泥だらけねぇ。先にお風呂に入ってらっしゃい」
お母さんに言われるまま、僕はお風呂にはいることにした。
お風呂の中でも、水を飲んだ。おいしい。
「おいしいなぁ」
声に出して言ってみた。大丈夫。声は出る。さっきのはなんだったんだろう……。
僕がお風呂から戻ると、みんなは先にご飯を食べ始めていた。
席に着くと、目の前にはゆげのたった、ほかほかのご飯が出された。
「いただきまーす……」
手を合わせて、目を閉じた瞬間、なんだか喉に石がつまったような気がして、ふいに泣けてきた。
「どうしたの……」
なんでもない……と言おうとしたけど、うまく言えなかった。ただ、いっぱいになってしまった気持ちが、ふるえるような声とともにあふれてしかたがなかった。
みんなが口々に、あれこれ慰めてくれたけど、自分でも、どうして泣けるのかわからなかった。
しばらく泣いて、ちょっと落ち着くと、少しご飯を食べた。お腹は減っているのだ。でも、一口ご飯を口に運ぶたびに、泣けてしまう。おかずがなんだったか、ちっとも覚えていない。ただ、ご飯を口に運ぶたび、気持ちがくちゃくちゃになって、泣けてしまった。
みんなもしかたがないと思ったのか、それとも、とにかくご飯を食べているから安心したのか、僕のことは放っておいてくれた。みんなより、かなり遅れてご飯を食べ終わった僕は、一人で2階に上がって、ぼーっとしていた。おばあちゃんの家に泊まりに来たときは、ここが僕たちの寝る部屋だ。
寝るだけの部屋だから、ほかにはなにもない。兄弟達は下で賑やかに遊んでいた。
僕はなんだか、自分の中がごちゃごちゃして、落ち着かない感じだ。
ふとんの上にひっくり返って、ぼーっとする。そしてそのまま眠ってしまった。