2009/9/5

着水

9-6

 水鏡は、竹ざおにぶつかると、僕たちを乗せたまま止まってしまった。
 そして、周りの人たちは、くちぐちになにかを叫んでいた。
 僕には、何を言っているのかよくわからない。水鏡は、完全に止まっているわけではなく、ゆらゆらと揺れている。なんだか、ゆっくりと竹ざおを押しのけようとしているようだ。
 しょうたは、あたりをきょろきょろと見渡していた。そして、体のがっしりしたおじさんを見つけると、しまった~という顔で首をすくめた。そのおじさんが
「しょうたぁ~!」
 と叫んだときから、ふいにみんなが何を言っているのかがわかった。
「ほらぁ、つかまれー!」
「はやくしろー!」
「つかまれー!」
 どうも、そういっているらしい。
 僕が、どうしようかと迷っていると、しょうたの手がぼくの腕にふれた。
「あのさ……」
「なに?」
「あの……」
 しょうたが何かを言おうとしたとき
「しょうた~!!」
 と、また大きな声が飛んできた。
 しょうたは一度、ぎゅっと目をつむると、僕の近くにあったさおを引き寄せて、僕ににぎらせた。
 続いて自分のにぎる。
「しっかりつかまってろよ~!」
 下の方から、大きな声がしたかと思うと、さおが横倒しになって、僕たちは水鏡から外に出された。
 水鏡を目で追うと、そのままするりと動き始めて、ほこらの方に近づいていった。
 そして僕たちは、池の中にさおごと落ちた。

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